プラスのものづくりの現場を訪ねる 寄居工場

多くの人に愛されてきた、
紙製フラットファイルが生まれる場所へ。

グッドデザイン・ロングライフデザイン賞も受賞し、
長年、多くの人に愛され続けているプラスの紙製フラットファイル。
その生産体制を強化するため、2016年2月に開設されたのが寄居工場。
素材だけではなく製造工程、生産現場においても環境面に配慮していることがわかる。

長年、多くの人に愛され続けているプラスの紙製フラットファイルは、1995年、埼玉・所沢工場で生産を開始。その後、2004年から上海工場へ、さらに翌年2005年にはベトナム工場へと生産拠点を移行、2016年に埼玉・寄居工場を開設することで二極体制とし、グローバルベースでの最適な生産体制を構築している。今回は、寄居工場で働くスタッフに、紙製フラットファイルの魅力とものづくりについて聞いてみた。

つくる側の責任として、
生産現場における環境配慮を徹底。

今回、主に話を聞いたのが寄居工場立ち上げの主力メンバーでもある内倉工場長。プラスに入社して30年以上という工場長が工場創設に携わったのは、ベトナム工場、上海工場に次いで寄居工場が3カ所目。海外の工場を渡り歩き、さまざまな人と関わってきた豊富な経験が活かされている。

工場に入るとまず目に入るのが、高く積み上げられたカラフルなロール紙。直径1メートルは優に超え、重量は360kg以上もあるという。企業によっては裁断して仕入れているというが、プラスではロール紙のまま製紙工場から直接運び入れている。梱包する副資材が不要となるため、搬入時にゴミがほぼ出ないからだ。

「工場を稼働させる上で、一番に考えることがいかに楽できるかということ。それは決して手を抜くということではなく、時間と資源をいかに効率よく使えるか」だと言う。例えば、ロール紙のまま生産できるようにするため特注の機械を導入している。かなり投資をしているが、重要なのは効率と投資のバランス。ロール紙のまま納品されることで梱包は簡易化され、ゴミがほぼ出ないだけではなく、荷ほどきなどの工数も減る。使い切ったあとのロール芯も返却され、再利用されるなど徹底してゴミの削減に取り組んでいる。また、ロールの直径を機械ギリギリまで大きくして納品してもらうことで交換本数を減らし、紙チェンジのために機械を止める回数を最小限に抑えて稼働率を高める工夫もしている。

紙製フラットファイル自体も再生紙を90%以上使用。金属製とじ具から100%再生樹脂への変更、ステッチをなくした「ノンステッチ」、接着をホチキス留めから水溶性ノリにするなど、分別しやすく再生しやすい廃棄時の環境に配慮した製品である。つくる責任として、プラスでは20年以上も前から取り組んでいる。

部材購入から発注、保管、出荷など製品の管理を担当している山縣。数年前にはフォークリフトの免許も取得し、出荷も行なっている。手にしているのはプラスの愛用品、ノート「Ca.Crea」。製品管理にとって発注や保管などの記録は欠かせない。スリムな形状はポケットへの収まりがよく、現場では手放せないという。中を見せてもらったがメモがびっしりと書かれていた。

5Sから8Sへ。
品質の向上は工場内の整備から。

品質へのこだわりは環境配慮だけではなく、プラスクオリティを維持するため工場内の環境整備にも及ぶ。例えば、空気が乾燥する冬には紙を良質な状態で保つために飲み水にもなる純水で工場内を加湿。おかげでスタッフが風邪をひかないというメリットもあるのだとか。また、職場環境を整える条件としては5S「整理(Seiri)」「整頓(Seiton)」「清掃(Seisou)」「清潔(Seiketsu)」「しつけ(Shitsuke)」が一般的だが、寄居工場では8Sを掲げている。先の5Sに追加するのが「安全(safety)」、「水平(Suihei)」、「垂直(Suichoku)」の3つのS。アイテム数が年々増える中、限られた面積の中でいかに倉庫を有効的に活用し、製品を最適に保管するか。それはスムーズな出荷や作業効率UPにつながるとともに、製品を大切に扱う誠実な姿勢でもある。8Sの重要性について、勤続年数30年、製品部材の購入、発注、保管、出荷まで担当する山縣が教えてくれた。

品質管理だけではなく、
働く人の環境にも配慮すること。

品質管理という点では働くスタッフの環境も大切に考えている。「製品管理や品質検査も大切ですが、スタッフがルールに則って作業ができているか、工場内を巡回して把握しておくことも私の役目です」そう語っていたのが品質管理や現場監督、研修担当の森本。プラスではここ数年、海外実習生を受け入れている。文化も異なり言葉も通じにくいが、品質講習会や丁寧な指導を心掛けることで流通に一貫性を持たせているという。

寄居工場のスタッフは総勢30名程度と多くない分、お互いに言いたいことが言い合える関係性なのだという。「意見を言い合えないとどこかで仕事にズレが生じてしまう。そうはあってはならないため、情報交換しやすい関係づくりにも努めている」と工場長が話してくれた。また、紙を扱う環境では紙粉がかなり出るため舞い上がった紙粉をスタッフが吸引しないように清掃を徹底。床面を清潔に保つことで工場エリア内に休憩スペースを追加するなど、スタッフの休憩時間にも配慮は欠かせない。

機械を動かすのは、人。
技術の継承のための人育てを。

寄居工場では、スタッフが一人で複数の業務を行う多能工を導入している。技術を幅広く、流動的に学ぶことでスタッフ全体のスキルが上がり、繁忙期やイレギュラーの対応もカバーしながら進めることができる。

また、ベトナム工場との二極体制を活かし、相乗効果を高める制度も計画中である。海外実習生を受け入れる際にベトナム工場の人事部が面接し、ベトナム工場にて現場研修や日本語を勉強した上で寄居工場へ。数年間、技術を学び経験を積んだ後はベトナム工場を牽引する人材として採用し、雇用の安定を図るというものだ。

機械を動かすのは、人である。人が育ち、技術が受け継がれるものづくりの現場こそが、お客様に自信を持って提供できるプラスクオリティの製品につながっている。