プラスのモノづくりの現場を訪ねる 前橋工場

豊かな森に囲まれた
広大な敷地の
ファクトリー。

深く生い茂った緑に包まれ、佇んでいるのはプラスファニチャーカンパニーの前橋工場。
プラスブランドの機能を集約した産業複合施設「プラスランド」の中枢をなし、
調査・分析から設計・製造、配送に至るまで、
オフィス家具の開発・生産に必要な機能が集約されています。

プラスランドは、1991年4月、日本百名山の一つ赤城山の景色を望む群馬県前橋市の郊外に建てられた。地形をいかした46万m2を超える敷地には神沢川が流れ、当時植樹した2万本の木々が豊かな森へと変容を遂げている。この森の真ん中に、「スーパーファクトリー」と「アトリエファクトリー」、2つの工場がある。ガラスで覆われた施設内は陽が差し込み、開放感のある空間が広がる。この工場には敷地を囲うフェンスがないため、周辺地域の風景にゆるやかに溶け込んでいる。今回はそれぞれのファクトリーで働くスタッフにものづくりについて聞いてみた。

デザイン性と機能性が交わる、
最適値を導き出す。

木製家具工場の「アトリエファクトリー」は多品種少量生産型。工房を併設することでお客様からのオーダーや製品カスタマイズに応えている。「材料のカットは機械加工だが、パソコンのコードを通す穴やテーブルの角、溝の部分といった細部や最終的な仕上げはひとつひとつが手作業。お客様が使う時にどう感じるか、どこが正面になるのかなど、使用シーンをイメージし、図面には描かれない部分も、手で触り確認しながら精度を高めている」と、木製テーブルの加工担当遠藤が教えてくれた。

いろいろな形に加工しやすい木製家具は、オリジナルデザインのオーダーも多い。とはいえ強度や安全性もオフィス家具にとっては重要になる。求められるデザインに応えながらいかに品質を高めていくか、その最適値を導き出すのが製作スタッフの役目でもある。「自由度が高いからこそ、日頃から皆で意見を言い合い、アイデアを共有し、スタッフのベクトルを合わせるように心掛けている」と、チームのチーフでもある遠藤はいう。

素材の個性に創意工夫で応える、
海外ブランドも認める高い技術。

プラスでは、職人の高い技術が海外ブランドにも認められ、スイスの giroflex社のチェアの一部をライセンス生産している。「クッションは椅子にとっての顔。座り心地はもちろん、第一印象もお客様にとっては肝心になる」。そう話すのは、椅子の製作に携わって32年になる今井。若い頃、先輩に言われた教えを胸に、縫い目の美しさを追求し続けている。「模様によっては縫い目が目立たないものもあるが、クロスの目ひとつでも曲がると気になる」という。クロスは布の種類によっても縫い方が変わる。特に革などの自然素材は部位によって性質が異なり、季節も素材の状態に大きく影響する。例えば乾燥する冬場は紙のように破れてしまうため、縫う前にスチームをかけて柔らかくするのだとか。「以前、お客様から『自社製品の生地で椅子を製作してほしい』と依頼があったが、伸縮性があってシワも出にくく張りやすい椅子専用の生地と異なり、お客様の生地は温めて繊維を柔らかくするなど試行錯誤しました。苦労はしたが、納品後、写真付きでお礼メールをいただいた時は大変嬉しかったです」。

職業柄、プライベートでもホテルや家具屋に行けば椅子の裏面を見たり、衣料品店でも縫製が気になるという。妥協のない姿勢とものづくりが好きという純粋な気持ちが、海外でも認められる高い技術につながっている。

塗装部門の石田と三原。同期の二人は国家試験の実技練習など技術を高め合うだけでなく、プライベートでもよく話すという。今回取材したスタッフに「プラスのいいところは?」と尋ねたところ、「社員の仲がいい。上下関係なく話がしやすく意見も言い合える」との答えが多かった。働く場所も重要だが、共に働く仲間も重要。良好な人間関係はプラスの社風ともいえる。

使えるモノは、使える限り。
責任をもって見届けたい。

オフィス家具の循環型トータル・リサイクル・システム
MRS(マテリアル・リバース・システム)

プラスグループには、オフィス移転やリニューアルに伴い不要となった家具でリユース可能な商品は、オークションでリサイクルショップ向けに販売。オークションで買い手がつかずにリユースできない商品は、業務提携先に委託し、マテリアルリサイクルを中心とした適正処理を行う仕組みがあります。

小さな検証の積み重ねに基づいて
生まれた、独自の「プラス品質基準」。

プラスには、自社の製品の高い品質を確保するために、日本産業規格(JIS)に加えて、より使用条件に沿った「プラス品質基準」がある。工場創設当初はJISを基準に生産していたが、実際に使用したお客様にヒアリングしていくとJISにあてはまらない項目が出てくる。例えば、福祉施設では大人が座ったままの状態で椅子を引っ張ることもある。こういった具体的な使用シーンはヒアリングしてみないとわからない。さまざまな声を拾い上げ、あらゆる角度から検証し、製品の改良につなげていく。小さな検証の積み重ねによって、JISでは網羅できない評価基準を独自に設定し、強度や耐久性、安全性など品質の維持・向上に努めている。

工場は人生の一部であり、
自分にとっての拠点でもある。

プラスランドの西側に位置するのが、工場施設群の「スーパーファクトリー」。ガラス張りのオフィスのような「センターファクトリー」をはじめ、「塗装ファクトリー」「物流センター」「事務棟」の主要施設がある。「センターファクトリー」では、オフィスで使用される基本アイテムのデスク・キャビネット・収納庫などのスチール家具を生産。「塗装ファクトリー」では、「センターファクトリー」で生産された製品の塗装を行い、工場と一体化した「物流センター」から直接お客様へ配送している。「事務棟」には芝生の庭やカフェテリアがあり、ゆったりとしたワーキングスペースと開放的な外部環境は郊外型オフィスのモデルとして見学者も多い。

前橋工場で働くスタッフ前橋工場のお気に入りスポットを尋ねたところ、「緑に囲まれた屋外の休憩所」、「(野球部に所属しているので)グランド」、「アウトドア好きなので、川も森も全部!」などさまざまな答えが返ってきた。その中でも印象に残っているのが、「緑に囲まれた落ち着いた雰囲気。家ではないけれど、自分の拠点というか人生の一部になっている」というコメント。一日の中で、働く場所が占める割合は大きい。その場所が自分にとって居心地のよい場所であることは働く場所の条件として重要と考える。